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ホアン先生は恋してくれない/SSもどき

『ホアン先生は恋してくれない』の結婚後のお話。
あらすじやいきさつなどは絵や1P漫画で見れますがいきなり展開がデフォです笑

SSもどき(しかも長い)ですが由多に文才はない、
でも読んでくれたならワッフル島のように心の広い方に違いない
あと若干の大人表現あり 2つ目の挿絵以降読むかは
自己責任で 判断お願いします







終業直後の悲惨な出来事に、2人して呆然とした。

本来ならばそのまましまえばいい書類を、ホアン先生がうっかりばらまいたのだ。
似たような書類ばかりで、これが3種類に仕分け済みだったなんて信じられない。
今から仕分けし直したって日付を越えるのが目に見えている。

「ホアン先生…?」

いつもはいい加減なようで抜け目ないホアン先生だけど、
この類いのうっかりだけは治らないようだ。

「あ、明日にするね!書類はほっといても腐らないよ!」


……………

次の日。

休日の診療所に、私たちは仕事をしに来ていた。
正確にいえば、仕事ではなくて残業みたいなものだけど。
定休日を知らせるドアプレートは、そのままにしておいた。
ホアン先生に好き好んで診察してほしい人はこの島にはいないし、
よほどのことがないかぎり急診もないだろう。

散乱具合が昨日と変わらないことに軽くため息をついてから、
私とホアン先生は、散らばった書類をまずはとにかく拾ってまとめる作業から取りかかった。


「あ」

派手に舞ったのだろうか、書類の一枚が診察台と壁の間に挟まっていた。
隙間にすっかり落ちてしまう前にと、診察台の上にあがって引っ張りあげていると、
後方でホアン先生が手を止めてこちらを見つめているのに気がついた。

「ホアン先生?どうしー」

私と視線が合っていない。もっと下の方?
ーまさかスカートの中でも見えていたのでは。

あわてて身体を向きなおし、診察台に腰掛けてスカートを整える。
ホアン先生は近くにやってきて、同じように隣へ腰掛けると。


「あの時の傷、もう残ってないね?」

そういって、あろうことか整えたばかりのスカートをぐいっと膝までたくしあげた。
反射でひっぱたきそうになったのを、ホアン先生の言葉を思い出してなんとかこらえる。

「は、はい…
ホアン先生が、処置してくれたおかげで」

ホアン先生は真面目な顔をして、気になった所を時折指で押したりして確認している。

だいぶ、いやかなり恥ずかしい。
ちがうのだ、これはホアン先生なりに心配してくれているのだと自分に言い聞かせて平静を保つ。
ホアン先生と結婚してからというもの、家ではその大胆さにどきどきさせられっぱなしだけど、
ここは診療所。そしてこれでも仕事中。意識しすぎてはダメだ。と、堪えていたのに。


「うん、元通り。きれいな肌ね」

そういって、満足そうに微笑むから。
ぶわっという沸騰音が聞こえそうな勢いで、私は顔を火照らせた。

「サラさんどうしたね?」

一度はそう尋ねたホアン先生も、理由に気がついたようで。

「熱でもあるか?…診てあげるね」

首をかしげて今度は不敵な笑みを浮かべる。










「な」

意図を持ってわざとらしく、私の頬に触れる。
気恥ずかしさでいっぱいになって顔をそらそうとするのを、
ホアン先生に指先で顎をくすぐるように制されてしまった。


「顔が真っ赤ね。りんごみたいある」
「ホ、ホアン先生っここ、診察室…!」

そう。診察室だ。
いくら今日が休診日といっても、絶対誰も来ないとはかぎらないのに。
そんなのはお構いなしといわんばかりに、じわじわと距離をつめてくる。

「次は口のなかね?『あー』して?」
「!ちょっと、ふ… 」

ふざけすぎですよ、と言いたかったのに言えなかった。
口を開いた瞬間、深く口づけてきたからだ。

唐突すぎるホアン先生の行動に、完全に思考回路が狂う。
あつい。くるしい。すき。

「んん、、はっ…」

息が続かなくて酸素を求めたところで、ようやくゆっくりとホアン先生は口内を後にする。
繋がっていた糸を、舌なめずりして裁った。

「ふふ、ますます真っ赤」
「だ、誰のせいですか…っ」

これで終わりにするのかと思ったら、
ホアン先生が再びスカートのすそをあげようとするのでさすがに手でおさえて抵抗した。

「ホアン先生!これ以上は、診察室だから!」
「あら、ダメね?残念ある」

にこっと笑ってホアン先生はあっさり離れる。

「身体が疼くならすぐいうよろし。ガマン良くないね」

さっきからトンでも発言ばかりで、この人は私を卒倒させたいのか。

「も…もうっ!前は仕事場でこんなことしなかったじゃないですか!なんで、」
「わたしの愛しい奥さんある、かわいがってはダメね?」
「!!」

とどめの一言に、言い返す余裕すらもう残っていない。

「でもまあ、たしかに書類整理おわってないね。また後でつづきしてあげるよ」
「!?」

さらなる追いうちに頭がクラクラする。
もしかして。結婚後は2人きりだといつもこうなのか?

「サラさんそろそろ手をうごかすね」

からかっているのか、本気で言っているのか。

こんな毎日、心臓がいくつあっても足りない。
ホアン先生が集めおわった書類を仕分けしはじめても、
しばらく診察台から動けないのだった。



つづか…ない!!!^^




2021/03/26 up
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